コアなファン向けの企画的アルバム
当サイトの評価
[未評価]
- 企画的アルバム(世間的には2nd)
- リリース_1988年
- 作品名_GN’R Lies
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Guns N’ Rosesは、1987年に発表したデビューアルバム『Appetite for Destruction』の大ヒットによって、米国ロックシーンの代表的な存在となりました。
熱狂の中で次回作の構想も進められていましたが、制作は難航し、なかなかリリースの見通しが立たない状況が続きます。
制作の遅れが続くなか、商業的なヒットが見込まれるタイミングを逃さぬよう、レコード会社の主導で企画されたのが、GN’R Liesです。
本作は、『Appetite for Destruction』のようなスタジオ録音によるフルアルバムではなく、インディーズ時代に限定リリースされ、ファンの間でプレミア化していたEP『Live ?!*@ Like a Suicide』からの4曲に加え、新たにアコースティックで録音された4曲を収録した、全8曲構成のアルバムです。
あくまでも企画盤という性格が強く、バンド本来の音楽性は感じられません。現在においては、コアなファンが楽しむための特異な一作として位置づけられるべき作品でしょう。
当サイトでも名盤としてではなく、コラム記事として紹介しています。
GN’R Liesのエピソード
デビュー作の翌年1988年に、Guns N’ Rosesは高い人気を維持したまま、2ndアルバムGN’R Liesをリリースします。
「The Drugs」「The Violence」といった刺激的な見出しが並ぶアルバムジャケット。これは、ゴシップ紙の紙面を模したものです。
スキャンダルばかりを追い立てる報道姿勢をあえて過剰に演出し、メディアへの批判と挑発を体現したのです。真偽不明の報道をくり返すメディアへの不満は、アルバムタイトルの “Lies(嘘)” にも現れています。
ただし、本作がリリースされるや否や、バンドは思わぬ形で社会的な批判にさらされることになります。問題となったのは、アルバムの最後に収録された『One in a Million』。
この曲は、歌詞に差別的な言葉を含んでいることから強い非難を受けました。アクセル・ローズは「個人的な体験を描いた」と釈明しましたが、批判を静めるには至りませんでした。
本作GN’R Liesは、フルアルバムではないにも関わらず、全米チャートで最高2位を記録。商業的には成功を収めました。
GN’R Liesの収録曲
- Reckless Life(Live)
- Nice Boys(Live)
- Move to the City(Live)
- Mama Kin(Live)
- Patience
- Used to Love Her
- You’re Crazy
- One in a Million
GN’R Liesの聴きどころ
本作GN’R Liesの前半には、デビュー前に録音された貴重なライブ音源が収録されています。荒削りながらもバンドの生演奏による臨場感を味わうことができます。
中でも、エアロスミスのカバー『Mama Kin』は、Guns N’ Rosesが自身のルーツとして挙げる1曲。原曲の骨太なロックンロールを荒々しく演奏し、Guns N’ Rosesらしいアレンジに仕上がっています。
そして、後半のアコースティック編成曲の中からシングルカットされたバラード『Patience』は、全米ビルボード最高4位を記録するヒットとなりました。
なお、アルバムのラストを飾る『One in a Million』は、歌詞中に差別的と受け取られかねない表現(移民や同性愛者に対する侮蔑的な言葉)を含んでいたことから、当時大きな批判を浴びました。
アクセル・ローズは自身の体験に基づいたものと説明しましたが、議論は長く尾を引くことになります。