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【アルバム】Toys in the Attic│Aerosmith

目次

おもちゃ箱に詰められたアメリカンRock

当サイトの評価
[★★★★(MAX)]
[名盤永遠の名盤]

  • 3rdアルバム
  • リリース_1975年
  • 作品名_Toys in the Attic(邦_闇夜のヘヴィ・ロック)

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夜中におもちゃが動き出す。かつて愛された、“不要”な物。

Toys in the Atticは、1975年にリリースされたエアロスミスの3rdアルバムです。タイトルを直訳すると“屋根裏部屋のおもちゃたち”。

ディズニーの人気映画「Toy Story」を彷彿させるテーマですが、実はToys in the Atticにはもう一面の意味が隠されています。

アメリカのスラングで『toys in the attic』とは、「精神的に不安定な状態」や「頭がおかしいこと」を暗示する表現です。つまりこの表題曲に込められているのは、ただの童心やノスタルジーではなく、“狂気”や“精神の崩壊”なのです。

しかし、エアロスミスは内省型のバンドではなく、生粋のエンターテイナー。このアルバムにも重苦しさはなく、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような、明快で派手なアメリカン・ロックが詰まっています。

テンポのよい曲が中心で、複雑さや重たさはありません。気楽に楽しめるロックアルバムです。

Toys in the Atticのエピソード

1975年4月、エアロスミスはアルバム『Toys in the Attic』をコロムビア・レコードからリリースしました。

彼らにとって3作目のスタジオ・アルバムであり、前年までの勢いを足がかりに、“ロックスターへの道”を決定づけた作品とも言えます。

レコーディングはニューヨークのレコード・プラント・スタジオで行われ、プロデュースは前作に引き続きジャック・ダグラスが担当。バンドの荒削りな個性を活かしつつ、より荒々しく洗練されたサウンドへと進化を遂げています。

収録曲の『Walk This Way』『Sweet Emotion』は、後にエアロスミスを全米的なバンドへと押し上げる代表曲となりました。

とくに『Walk This Way』は、1986年のRun-D.M.C.との共演によって再注目され、ロックとヒップホップの架け橋として語られる楽曲です。

当初の売れ行きは控えめだったものの、『Sweet Emotion』のスマッシュヒットをきっかけに注目度が急上昇。最終的には全米チャート最高11位、現在までに約800万枚以上のセールスを記録したと言われています。

“Toys In The Attic was where I knew we’d made it.”

(Toys in the Atticで、俺たちはついに“やったんだ”って実感できたんだ)

出典: Steven Tyler(LouderSoundインタビューより)

Toys in the Atticの収録曲

  • Toys in the Attic(闇夜のヘヴィ・ロック)
  • Uncle Salty
  • Adam’s Apple
  • Walk This Way
  • Big Ten Inch Record
  • Sweet Emotion
  • No More No More
  • Round and Round
  • You See Me Crying
邦題について

「闇夜のヘヴィ・ロック(Toys in the Attic)」を除いては邦題の記載を割愛し、原題のみを掲載しています。レーベルが独自につけたほとんどの邦題は、一般に極めて質が悪く作品の本質を反映していないためです。

PickUp:Toys in the Attic

アルバムToys in the Atticの幕開けを飾るタイトル・ナンバー。

イントロから疾走感あふれるアメリカン・ロックで、「何も見えない。夢——いや現実か?」という精神的に不安定な情景から始まる歌詞は、屋根裏で“何か”が進行していくような雰囲気を匂わせます。

1曲目から、アルバム全体を象徴する明快さと派手さを兼ね備えた楽曲。

ギター、ベース、ドラムすべてがロック的で、特に中間部のギターソロ後半で前面に出るベースラインが気持ちいいアクセントになっています。

エアロスミスが最も“ロック”していた時期を象徴する名曲です。

PickUp:Walk This Way

今ではロック史に刻まれる代表曲となった『Walk This Way』ですが、アルバムリリース当初は4曲目にひっそりと収録された1曲でした。

その後、Run-D.M.C.との共演を経て再評価され、80年代以降のロックとヒップホップの橋渡しとなる重要曲として知られるようになります。

イントロから導入されるあまりに有名なギターリフ。そして、エアロスミス特有のアダルトでユーモラスな歌詞全開で、思春期の妄想と欲望を軽妙なノリとともに描いています。

スティーヴン・タイラーのシャウト気味のボーカルと、ジョー・ペリーの鋭くリズミカルなギターが絡み合い、楽曲全体に“ファンキー”で猥雑なノリを生み出しています。

ラスト曲

ラスト曲の、『You See Me Cring』も、エアロスミスの後期のバラードを超えた哀愁感満載の楽曲に仕上がっています。ぜひ、お聴きください。

おすすめの聴きかた

Toys in the Atticはアルバム1枚で完結している名盤です。聴くときには1曲目からラストまで「通し」で聴くことをお勧めします。歴史的名盤のほとんどは、アルバム単位で作品が完結しており、映画を観るように「通し」で聴くのが基本です。

また、本作は疾走感と荒々しいロックサウンドが魅力の名盤。

AirPods(Pro)のような優しい音質では表現しきれない作品と思いますので、音圧や躍動感の強いリスニング環境で聴きましょう。

あとがき(Toys in the Attic)

1980年代になると、エアロスミスは世界的な知名度を得て、米国を代表するロックスターにまで上り詰めます。

この時代は、MTVの登場もあり、音楽そのものよりもパフォーマンスや映像表現が重視される傾向が強まりました。エアロスミスも、その流れに乗っていきます。

Toys in the Atticは、そうした時代に染まる前の、純粋に“ロックを鳴らしたい”という初期衝動が感じられるアルバム。

ただ格好いいロックを鳴らす

そんなエアロスミスの気概が詰まった、初期の名盤。あなたにとってもお気に入りの1枚になれば嬉しいです。

この記事を書いた人

10代後半から洋楽Rockを聴いています。
ロックであれ、ヘヴィメタであれ、感情を揺さぶる音楽は「芸術」と考えています。
ピアノを習っていた時期もありクラシックも好きです。

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